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海洋サイバネティクスプログラムの概要

 長崎県の水産業を活性化させるために、水産学のほか、環境科学、生物学、経済学、工学など関連分野の専門知識・技術を集結し、新しい水産技術人の教育プログラムを始めています。

 プログラムの受講対象者は次のうちいずれかにあてはまる人で、2年間にわたって長崎大学および水産業の現場で実施される集中講義・実習に参加できる人です。

  • 長崎県の水産業・水産加工業に従事する生産者・技術者
  • 地方公共団体の職員で、長崎県の水産再生に熱意が有る人

 受講料は無料です。



水産業を活性化させる「海洋サイバネティクス」の3つの特徴

特徴1 3つの専門コースで行われるプログラム

 海洋サイバネティクスのプログラムには、「増養殖コース」、「漁業管理コース」、「水産食品コース」の3つのコースが設けられており、専門科目の講義と実習はコース別に進められています。それに加えて、すべてのコースの共通科目として環境や経営・流通、国際動向などに関する講義や実習が行われます。
 受講者は大学で集中的な講義・実習を受けますが、その他に、受講生の仕事の現場に大学の教員が出向き、受講生が直面している問題を共有しながら、一緒にその解決にあたる現地実習の時間が組み込まれています。2年目の最後の半年は「海洋サイバネティクス演習」として、それぞれの受講生が選んだ課題に集中的に取り組み、その検討結果をレポートにまとめます。

特徴2 地域集結型プロジェクト等の研究資産を生かした教材

 長崎大学は、平成13年度から18年度まで長崎県等と連携して地域集結型共同研究事業「ミクロ海洋生物による海洋環境保全・生物生産に関する技術開発」を実施しました。長崎県の特産魚としてマハタをはじめとする各種種苗の量産システムを確立した点や、海洋生物の生理機能を活用した新規の養殖用餌料生物を開発し地域の企業と連携して製品化した点などは、このプロジェクトの成果の代表的なものです。
 海洋サイバネティクス・プログラムでは、このような世界的に見ても優れた先進的な技術開発の成果を教材として活用します。また、技術開発に携わった研究者が、技術を着想するに至った経緯や、開発に至る試行錯誤の過程、失敗例などを解説します。これも技術開発のデザイン能力や問題解決能力を養成するための絶好の教材になるものと考えています。

特徴3 問題解決型学習の実践

 このプログラムのもう一つの特長は、「問題解決型学習(PBL: Problem-Based Learning)」を実践するところにあります。このPBLは、もともとは医学教育の分野で、患者の症状に応じてどのような処置・治療を行うかを学習するために導入されたものです。
 水産分野では、問題が多岐にわたることが想定され、また治療のガイドラインが用意されていない場合が多く、その意味でも問題を受講者と共有することが非常に重要です。受講者の仕事の現場での実習をカリキュラムに含めたのも、このPBLの効果を高めるためです。受講者はこのPBLの実践の過程で、現場の問題解決能力に結びつく知識や技術の習得に取り組むことになります。このような形で水産現場のニーズに応えていくことによって、大学の教育・研究もさらに充実したものになることが期待されます。

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講義と実習について

 講義と実習は,プログラムのI〜III期(最初の1年半)の間に,長崎大学および県内各地の水産業の現場において集中的に行います。1回につき3日間の集中講義・実習を,長崎大学において各期に2回(年間4回)程度,水産業の現場において各期に1回(年間2回)程度実施することを予定しています。

 講義・実習1回(1クラス)の時間は90分間で,上記の集中講義・実習により,I〜III期の間に講義24クラス,実習72クラスを終えます。また,プログラムの最終期(IV期,最後の半年)には海洋サイバネティクス演習を実施します。これらの講義・実習、演習の総時間は174時間です。各コースのカリキュラムは下記の通りです。

 プログラムのI〜III期に実施される課題・実習において全体の2/3以上の単位を取得すること(担当教員が評価します)、および、鹸に実施される海洋サイバネティクス演習において本プログラム運営委員会にて修了を認められることが修了要件です。修了要件を満たした方には、本プログラムの修了証が授与されます。これに加えて、平成21年度のカリキュラムより、一定の要件を満たす方には文科省が認める履修証明書が交付されます。

共通科目(コース紹介

  開講期間 講義科目名
共通講義 I期(1年次)
  • 海洋サイバネティクス学総論
I〜III期(1・2年次)
  • 赤潮の毒性と防除技術
  • 水質測定とその意味
  • 新しい生物環境計測技術
  • これからの水産経営
  • 水産物の流通システム
  • 水産業の国内外の動向
  • 赤潮の生物学
  • 工学技術の水産への応用 など
共通実習 I〜III期(1・2年次)
  • 海洋環境保全実習 I,II,III
  • 海洋サイバネティクス実習 I,II,III
I〜IV期(1・2年次)
  • 海洋サイバネティクス特別実習(乗船)
演習 IV期(2年次)
  • 海洋サイバネティクス演習

増養殖コース(コース紹介

講義 I〜III期(1・2年次)
  • 魚病の予防と治療
  • 仔稚魚飼育
  • 成熟と採卵
  • 餌料生物
  • 栄養 など
増養殖コース実習 I〜III期(1・2年次)
  • 増養殖実習 I,供き

漁業管理コース(コース紹介

講義 I〜III期(1・2年次)
  • 漁業生産の体系と分類
  • 海洋の基礎生産・物質循環
  • 漁業生物と生態系 など
漁業管理コース実習 I〜III期(1・2年次)
  • 漁業管理実習 I,供き

水産食品コース(コース紹介

講義 I〜III期(1・2年次)
  • 水産食材と加工食品の特性
  • 水産食品の安全・安心 など
水産食品コース実習習 I〜III期(1・2年次)
  • 水産食品実習 I,供き

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これまでの受講生と演習テーマ

受講生の内訳(職業)

受講生の内訳(職場所在)

  H19年度生H20年度生H21年度生H22年度生
長崎   4   2   3   2
平戸・松浦  1   2   0   0
佐世保・西海  4   1   0   1
大村・諫早  1   0   1   1
島原半島
(雲仙・島原・南島原)
  3   3   4   2
五島列島  1   3   2   2
壱岐   0   1   0   0
対馬   2   1   1   1
他県
(福岡・大分・熊本)
  3   2   4   3

受講理由(例)

  • 環境や生態を学び、貝類の養殖に取り組みたい(養殖業)
  • コスト削減のための薬剤の勉強がしたい(資材販売)
  • 水産業支援のために技術・経営の実態を深く学びたい(金融)
  • 漁業者支援のために広い知識を得たい(行政)
  • 長崎の魚を使った新商品の開発のための知識を得たい(加工)
  • 長崎の水産が元気になれば日本の水産を元気にできる(資材販売)

演習テーマ

第 I 期生(平成19年度生)

No. 演習題目
  1 陸上循環養殖への脱窒技術の適用検討
  2 トラフグの新たな魚病対策開発の試み
  3 二枚貝における卵質評価の検討
  4 トラフグの性比のコントロール
  5 トラフグの高採算性養殖への取り組み
  6 藻場機能を付加した防波堤整備とそのモニタリング
  7 異なる飼育方法における稚魚の骨格標本データベース作製
  8 ワカメ養殖場での植食性魚類に対する食害防止策
  9 LED集魚灯の実用化に向けて
 10 長崎市の水産物の海外マーケットへの進出
 11 低利用魚介類の加工について
 12 大村湾周辺の直売所における鮮魚取扱の現状
 13 生産情報公表JAS制度の活用 養殖魚の地位向上を目指して
 14 茂木地区における漁村の活性化
 15 アカムツの販路拡大
 16 適正な養殖魚の生産と販路拡大への取り組み
 17 養殖マサバの身割れの発生要因と今後の対策について
 18 カタクチイワシの伝統加工食品とヒスタミン食中毒の危険性について
 19 対馬・高浜地区における活魚輸送の取組について


第 II 期生(平成20年度生)

No. 演習題目
  1 雲仙・島原地先におけるアサリ漁場環境の評価
  2 漁家経営の改善とその糸口
―新上五島日島郷大型定置網業者の取り組みを中心に―
  3 漁閑期を補う漁法の導入
〜低利用資源・低利用漁場の活躍を目指して〜
  4 定置網とイカ産卵場の組み合わせについて
  5 郷ノ浦町地先におけるアワビの資源維持に向けて
  6 クエ養殖における異形魚の出現
−これからの種苗放流のあり方を問う−
  7 「大村湾もずく」の消費拡大に向けた商品特性の分析について
  8 漁場情報の簡易取得システムの構築による漁場利用の高度化の検討
  9 有明海(雲仙・島原地先)のアサリ漁場におけるアサリの成長から見た
環境修復可能性の評価
 10 韓国済州島におけるヒラメ養殖業の生産コストと価格形成
〜活ヒラメ対日輸出を例として〜
 11 マハタの閉鎖循環式陸上養殖における飼育水(ろ過天然海水と人工海水)の比較
 12 平戸地区の練り製品における安全確保技術の提案
 13 底曳き網で漁獲廃棄される魚介類を飼料として用いたトラフグ養殖の試み
 14 長崎県佐世保地先に生育するヒジキのモニタリング

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長崎大学

長崎大学水産学部

国立大学法人長崎大学水産学部
〒852-8521
長崎市文教町1-14
Tel 095-819-2793 [水産総務班]
Fax 095-819-2799 [水産総務班]